わすれもの





忘れ物とか、ミスとかすると絶望感に苛まれる。

それがどれだけちょっとしたことでも「あぁ、もう何やってんだよ…」と自分に対して思う。

大抵の人にすれば、たいしたことなかったり、どうにかやり直せるものだと思うのだけど、僕にとっては「十分避けられたミス」であるわけで。
10m先に穴があるのを確認して「あそこで右に避けよう」と思うのに、晩飯に思いを巡らしていたら穴に落ちるような、風呂に入るたび「足の爪を今日こそは切ろう」と思うのに風呂から上がったらそのまま寝てしまうような、そんな学習能力の無い行動を繰り返してしまう。



それに気づいたとき、あまりにも強烈なやるせない感情に襲われる。
自分としてはそのミスや失敗を明確に想定していて、だから「これについてはこうしておこう」という方針を決め、「絶対忘れないようにしよう(今度こそは)」と心に決めるのに、それを毎回あえなく無駄にしているのは他でもない自分。
それまで上手く事が運んでいても、その自分のくだらないミスで自分の頑張りがほぼ無に帰すのは恐ろしいまでの喪失感と疲労感と徒労感がある。

自分が自分の不利な状況を作り出しているのである。

理不尽極まりない…





メモればいいというものでもない。メモをみるのを忘れるからタチが悪い。
いっそ手の甲とかにメモするのが一番いいのかもしれない。
でもそれも最善とは言えない。昔、手の甲にメモしたことがあるが、しばらく後に自分はそれを汚れと認識してぬぐい落としたことがある。自分は信用できない。



ボールペンと言うのが良くなかったのかも知れない。今度からは油性マジックでメモした方がいいかも知れない。そのほうが気づきやすい。
でもたぶん今こうして決めたことも忘れてしまうだろう。



自分はこれほどまでに信用にならない。





最近何かをやろうとするたびに、自分を覚えの悪い爺さんのように認識し始めている自分がいてとても悲しい。
そしてそれを覆せない自分がとても悲しい。





いつか自分に目にモノ見せてやりたい。













アユセ