夏前日

創作小説その2の2







僕は立ち上がると、河口の方へと歩き出した。ここからいけば二十分ほどで海につく。

河川敷から道路となっている防波堤まで登り、車の全く通らない道を下る。桜や松が乱立していて、影も多い。木漏れ日がひらひらと漂っている。なんだか、光の中を歩いているような心持になった。



完全ではない影の周りを光が囲っている。

まぶしい。

でも僕が踏んでいるのは影だ。

いつだってそうだ。過ぎた眩しさは、瞳孔を絞り、暗いところを見えなくする。

そのうち、視界が白と黒に統一されていく。僕の足元は真っ黒だ。それが、切り取られた紙みたいにずっと向こうまで続いている。僕は何をやっているんだろう。そのうち落ちるんじゃないだろうか。

行く先に何があるのかもよく知らないのに、突然そこの道から車が飛び出してくるかも知れないのに、自転車に乗った子供の背中なんてあっという間に見えなくなってしまっているのに、何で僕はこんな道をとぼとぼと歩いているんだろう。



どこかで方向転換をしたほうがよくないか?

少しは小走りになったほうがいいんじゃないか?

もっと照らされた道を行くべきじゃないのか?



もっと必死になれ。





このままこんな風に歩いていってどこにたどり着くだろう。決まってる。河口にたどり着く。

そこまで行ってどうするんだ?川が終わって、僕もやめるのか。

その先?海が広がっている。海は黒っぽく、濁っていて、なんだかぼんやりとしている。暗い靄のようだ。全てが飲まれてしまいそうな、よく分からない不安や恐怖。

こんな調子では、僕はいとも簡単にそれに飲まれてしまうだろう。



いや、そこにすら至れないのかもしれなかった。

こんな、何も見えていない様な僕の目がみている道は、果たして本当にどこかにたどり着くのだろうか。もしかすると、目的地どころか終着点すらなく、僕は途中で倒れるしか未来は無いのではないだろうか。それより本当にここは道なのだろうか。

誰ともすれ違うことも、相具すこともなく、たった一人で、よく分からない薄闇に向かって歩み続けるしかないのだろうか。





=====もうちょっとつづっく======================



最近本を読んでて、自分の読解力の低さに気付いて愕然としました。

まあだから文章書いてるんですがね。



その2の1が長かったので短くしました。



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その2の1「夏前日」⇒http://d.hatena.ne.jp/ayuse/20090616/p1