きっと





きっと分かってたんだろう
僕らが見てたのは光なんかじゃなくて
ただうすぼんやりした 月の光で
淡く浮かび上がった この夜の向こう
信じられるものなんて
なにもないって




彼が吐く
心配ない とか 頑張るよ
なんて言葉を
みんな鵜呑みにして
ずっと踊ってたんだ
覚束ない足取りで 孔みたいな闇を見えないふりして
今ある足元を 切り取って箱に入れて眺めてる
他になにも見えないように




道はあったはずだろ
そうやって切り取ってばかりで
道は穴ぼこだらけになった
振り返れば崩れてしまいそうで
立ち止まる事なんかできなくて
釣り糸の切れた人形みたいに
また一歩 足をふらつかせて



きっと分かってるんだろう
その一歩を踏み外して
落ちていってしまうこと
ちゃんと前を見てないから
そのことに気づかないだけ
大切に抱えた欠片を
離そうとしないだけ
















ayuse