忘れました




ドラマとか、人が鼻を膨らませながら話してるのをよく見るけど、あれはよく分かんない。

いや、分かるのだけれど、おもしろいんだろうし話のネタになるし共感していくのが楽しいんだろうけど。



よく分かんない。


ドラマを見る習慣が無いからかもしんない。




ドラマとか映画とかは、感情が缶詰みたいになってるのが好きだ。

その感情に到るまでのめんどくさい工程を丁寧に描いて導いてくれるのがいい。

あれはどちらかといえば「思い出す」方が近いかもしれない。

登場人物に自分を投影して、様々なシーンとか出来事とか疑似体験してるような気分。

で、沸いてきた感情に「あぁ、俺にもこんな気持ちがあったなぁ」って。

ヘンな話だけど、使わない感情はほとんど箪笥の奥にしまってて、普段は外見の良くて安っちい感情を着まわしていて、だいたいそれをローテーションしてる。

たぶん僕が普段感じてる気持ちなんて片手で数えられる。

嬉しいだとか安心、辛い、しんどい、焦り、苛立ち、緊張、あと高慢と羞恥くらいだろうか。ああ、めんどくさいってのも。

両手はいるか。

けどいつも使ってるからほとんど新鮮味がない。

なにを感じても古いTシャツを見たときみたいな気分になったりして、「ああ、またこれか…」とかうんざりもしてる。



だからたまに映画なんかみたりして、安っぽいB級のハッピーエンドとか中途半端に深い話にやけに感動したりする。

「おお、俺こんな服持ってたんだ、なつかしい」って気持ちに近い。


だから考えさせられる映画も、最初からギャグで飛ばしてる映画も好きじゃない。

普段からもう悩んでるし、笑いならyoutubeで十分だろうし。